自閉症について

自閉症とは

自閉症は、先天的な脳の機能障害です。視線が合わなかったり、1人遊びが多く関わろうとするとパニックになったり、特定の物に強いこだわりが見られたり、コミュニケーションを目的とした言葉が出ないなどと言った行動特徴があります。

その障害名から「心の病気」という誤った印象をもたれがちですが、自閉症は心の病気ではありません。

自閉症とは、先天的な脳の中枢神経の機能障害で、自分を取り巻く様々な物事や状況が、定型発達と呼ばれる私たちと同じようには脳に伝わらないために、結果として対人関係の問題やコミュニケーションの困難さ、特定の物事への執拗なこだわりを呈するという障害です。

自閉症スペクトラム障害とは

話す力や言葉の理解、形を認識する力や状況を理解する力などの知的な能力が、年齢に比して全体的な低いレベルにあり、社会生活をしていく上で、理解と支援が必要な状態を知的障害(精神遅滞)と言います。自閉症の中でも、そのような知的障害を伴う場合と伴わない場合があり、知的障害を伴わない自閉症を、高機能自閉症といいます。具体的には、IQ70以上であれば知的障害を伴わないとされています。

高機能自閉症とよく似た特徴を示し、発達初期に言葉の遅れが無く、比較的言語が流暢な場合に、アスペルガー症候群と診断されることもあります。

高機能自閉症やアスペルガー症候群は「高機能」という言葉からも、その障害が軽いと誤解されがちですが、知的障害がないからといって、社会性の障害、つまり自閉症の本質的な障害が軽いというわけではありません。そのような誤解から、周りからの理解や支援が得られにくいという例も多く、より正確な知識の普及や行き届いた支援が望まれます。

さらに、自閉症ほど典型的ではないが、自閉症としての特徴がいくつかあることを指して、非定型自閉症、または特定不能の広汎性発達障害ということもあります。

このように知的な障害や自閉症の重症度によって呼び方が異なりますが、自閉症とアスペルガー症候群、非定型自閉症を合わせて、自閉症スペクトラム障害と呼びます。

自閉症(Autism)は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴が発達段階で現れると言われています。

文部科学省によると、自閉症は以下のように定義されています。

自閉症とは、3歳くらいまでに現れ①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定される。

出典 文部科学省

世界保健機構(WHO)の『ICD-10』(国際疾病分類 第10版)の分類では、自閉症は広汎性発達障害に含まれます。

自閉症の特徴的な3つの症状

社会性・対人関係の障害

 

  • 目線を合わすことが苦手
  • 周囲に関心が無いように見える
  • その場の空気が読めない

コミュニケーションや言葉の発達の遅れ

  • 言葉を話すのが他の子と比べて遅い
  • 人の話したことをオウム返しする
  • 抽象的な言葉・比喩や皮肉の意味を理解できない
  • 呼んでも反応しない
  • 自分の話したいことだけ一方的な話す

行動と興味の偏り

  • 落ち着きがなく、手を動かしたり部屋の中を行ったり来たりする
  • 毎日決まった行動をし、予定外の行動はなかなか取れない
  • 1つのものや、自分の興味があるものに執着する
  • 予定外の出来事、初めての人・場所・活動に抵抗を示す

自閉症の判断基準

自閉症について、気になる症状がある場合は医師に相談し、診断を受けることもできます。医療機関での診断は『DSM-5』や『ICD-10』による診断基準によって下されます。

医療機関での診断は、子どもの場合は、専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いです。また18歳以上の場合は一般的に精神科や心療内科で診断がなされます。しかし、自閉症を診療できる専門の医療機関はまだまだ少ないのが現状です。

各地域の「発達障害者支援センター」に相談をして、専門の医療機関を紹介してもらう方法もあります。納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。

医療機関では、診断基準に基づいたテスト、生育暦の聞き取り、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答など、しっかりと問診をしたうえで総合的に判断されます。

『DSM-5』では広汎性発達障害の下にあったレット症候群を除くすべての障害名が、自閉症スペクトラムという名称に統合されました。そのため、自閉症は現在では自閉症スペクトラムという診断名で診断されることが多くなっています。

もしかして・・と気になることが多い場合には、専門機関での相談をお勧めします。誰かに相談することによって気持ちも楽になります。

家族で悩んでいても、困難に対する改善策はなかなか見つかりません。小さい頃から早期に自閉症に対する教育方法や療育などの対処法をはじめとその後の発達に大きな違いが見られることもあります。

はじめの一歩を踏み出すのには大変な勇気が必要かと思います。しかし、その一歩を踏み出すことによっていろいろな悩みが軽減されることもあります。自閉症ではないと診断された場合でも、困難を乗り越えるための様々なアドバイスをしてもらえることが多いので、一度相談してみることをおすすめします。

診断を受ける前に専門機関にまずは相談をしてみましょう。

障害なのかなと疑問を持った場合、いきなり自分で専門医を探すのは難しいので、まずはお住まいの地域の専門機関に相談することをおすすめします。子どもか大人によって行くべき専門機関が違うので以下を参考にしてみてください。

子どもの場合

  • 保健センター
  • 子育て支援センター
  • 児童発達支援事業所
  • 発達障害者支援センター など

大人の場合

  • 発達障害者支援センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 相談支援事業所 など

知能検査や発達検査は児童相談所などで無料で受けられる場合もあります。障害について相談することも可能です。発達障害者支援センターで障害についての相談もできます。まずは連絡を取ってみましょう。

自閉症にはさまざまな症状がありますが、その症状は個人差があります。

それらの特性に気づき、一人一人にあた環境をつくること、その子にあった療育や教育をしていくこと、苦手なことの対応方法を工夫していくことで、逆に特性を強みとして活かすこともできます。自閉症のある人の中でも、特性を活かして活躍している人がいます。特性を活かせるような環境づくりをすることで、本人の生活上の困難さを解消し、その人らしく生きることが可能になると思います。